研究内容

本研究室は小さい領域において機械・電気・医学・バイオ等の知識を駆使し、生きた細胞が有する未知なる機能の解明や細胞レベルの治癒を工学的なアプローチによって実現することを目標に研究に取り組んでいます。

例えば、狙った癌細胞のみを死滅させる技術、微細空間操作技術による細胞手術の研究、再生医療に向けた細胞分化制御のための新しい遺伝子導入技術など工学と医学の異分野融合領域を取り扱っています。この技術により、これまでわからなかった微細空間内での現象の解明を目指しています。

研究領域のご紹介

研究領域1:細胞加工と遺伝子導入

ガラス毛細管内のマイクロ空間内に電気放電を発生させ、その爆発的なパワーによって液中に指向性を有する高速気泡列が発射される現象を発見し、これを利用した細胞加工や核移植技術を行っている。また多重ガラス管を用いて試薬を供給できる構造を作りこむことにより試薬界面を撃ちぬく形で気泡が発生することにより、試薬が気泡界面に付着した状態で液中を輸送するという特異な現象を発見した。

この現象を利用することにより、これまで困難とされていた固い対象への遺伝子等の試薬導入を可能にする技術や、高精度遺伝子導入技術に取り組んでいる。(国際特許申請済PCT/JP2013/055703)

研究領域2:結晶生成技術

人間の疾患のほとんどはタンパク質の欠損やダメージにより生じると言われている。
創薬技術はこのタンパク質のダメージ箇所にピッタリはまる、よく効く薬を開発するために、タンパク質の高精度な構造解析を行うことが大変重要となっている。タンパク質の構造解析を行うためには、高解像度のタンパク質の結晶を生成することが不可欠であるが、タンパク質等の有機結晶は分子同士の結合力が弱く結晶になりにくい性質を持つ。
本研究において電界誘起気泡を打ち込むことにより、結晶誘起因子を積極的に導入することにより、これまで結晶ができなかったタンパク質の結晶化に取り組んでいる。

研究領域3:液体・プラズマ界面による機能創発

プラズマは物質の第4の状態と呼ばれており、液中ではプラズマ状態は存在しにくいと言われている。
しかしながら大気圧低温プラズマと呼ばれる新しいタイプのプラズマ生成方法により、液中に気泡を生成してその中にプラズマを発生させる技術が確立されつつある。

本研究では、このような液中プラズマ気泡によるバイオメディカル応用技術に取り組んでいる。
この技術を利用することにより、反応性の高いラジカルを遠くに分散輸送できる技術を利用して、狙った場所のがん細胞等の死滅や細胞の活性化など幅広い用途に用いられる技術開発を行っている。

主な研究設備

  • MEMS用クリーンルーム:(スパッタ装置,露光装置,段差計,スピンコータ等)
  • ドラフト(マイクロめっき装置)
  • バイオ関連機器(バイオベンチ,オートクレーブ,インキュベータ,バイオ用冷蔵庫・フリーザ等)
  • 観察関連機器(光ピンセットシステム,共焦点顕微鏡,実体顕微鏡,ハイスピードカメラ等)
  • 微細作業関連機器(ガラスプラー,マイクロフォージ等)

研究プロジェクト

  • 文科省科研費 新学術領域「マイクロプラズマ・液体界面によるバイオメディカル・新材料の機能創発」(2015-2016)
  • 文科省科研費 挑戦的萌芽「微小場空間内における高エネルギー渦輪生成と輸送による機能創発」(2015-2016)
  • JSTさきがけ 細胞機能の構成的な制御と理解領域:「電界誘起気泡インジェクションメスによる分子操作と再構成」(2013-2016)
  • 文科省科研費 基盤B「電界誘起型マイクロナノバブルインジェクションによる機能創発」(2013-2015)
  • 文科省科研費 挑戦的萌芽「大気圧液中下での高精度高速加工パターニング技術の新展開」(2013-2014)
  • 文科省科研費 新学術領域「マイクロプラズマ液体界面を有する微細気泡輸送によるバイオメディカル機能創発」(2013-2014)
  • JST A-STEPシーズ顕在化「電界誘起指向性ナノバブル列の局所圧壊による革新的治療法の開発」(2012-2013)
  • JST A-STEP探索タイプ「誘電体バリア放電プラズマ液体界面によるマイクロ流路内機能創発」(2013)
  • JST A-STEP探索タイプ「大気圧下水中でのナノスケールプラズマによる高精度加工技術の開発」(2012)
  • JSTさきがけ ナノシステムと機能創発領域:「ナノ電気メスによる高精度細胞センシング加工システム」(2009-2012)
  • 文科省科研費 特定領域研究「局所環境制御型オンチップ細胞培養と蛍光センシングシステムによる局所細胞応答解析」(2008-2009)
  • 文科省科研費 若手B「多相エマルジョンによるドナー細胞卵細胞のカップリング輸送及び融合システムの創製」(2008-2009)
  • (財)日本科学協会 笹川科学研究助成(学術)「微小流路内のマイクロ渦による遠心力発生メカニズムに関する基礎研究」(2007)